神戸ワイン、「白鶴酒造」に事業譲渡へ…ブランドは継続
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地元産ブドウにこだわり、販売開始から40年間にわたって市民らに親しまれてきた「神戸ワイン」について、製造・販売する神戸市の外郭団体「神戸農政公社」(神戸市西区)は15日、市役所で記者会見を開き、ワイン事業の譲渡に向けて「白鶴酒造」(同市東灘区)と協議を始めたと発表した。老朽化した醸造設備の改修や海外への販路拡大を進める必要があり、事業を継承できる民間事業者を探していた。譲渡後も「神戸ワイン」のブランドは継続される。(高田果歩)
同公社によると、神戸ワインは1984年10月に販売開始。市内産のブドウのみを使って醸造されており、酸味と飲んだ後の余韻が特長。90年代後半には年100万本以上を販売したが、安価な輸入ワインの普及などもあり、近年は年間20万本程度に低迷。巻き返しに向け、「神戸梅ブランデー」の共同開発などで関わりのあった白鶴酒造に打診したという。
今年2月、譲渡に向けた協議を始めることで両者が基本合意。譲渡後は、白鶴酒造がワインの製造・販売を担うが、農家からのブドウの買い付けは引き続き同公社が行う方針。今後、譲渡額や設備の引き継ぎなどの詳細を詰め、年内の事業継承を目指すとしている。
同公社の福島国武・常務理事は「神戸ワインの知名度をさらに向上させてほしい」と期待を込め、白鶴酒造の森伸夫・執行役員マーケティング本部長は「『神戸』というブランドに魅力がある。売り上げを伸ばし、ワイナリーツアーなども展開したい」と話した。